スペインのマジシャンRamón Riobóo / ラモン・リオボーのThinking the Impossibleと言う日本語版の本のレビュー。これはもう5年以上前に購入した本だけど最近この方の新しい本を注文したのでこの機会に簡単に感想を書いておこうかなと思う。
新しい本が出るまでは在庫があったみたいだけど残念ながら今は売り切れになっている。
英語版も売り切れのようだ。
手に入れるすべがなさそうだけど再販はされないかな?
いい本なのでなんとか入手されることを願う。

Thinking the Impossible:日本語版
翻訳者の方の紹介記事:緑の蔵書票

2021/07/13追記
スペインのマジシャンRamón Riobóo / ラモン・リオボーのThinking the Impossibleが再販決定
Thinking the Impossible再版に寄せて
販売ページ

セミオートマチックの作品が多い。
欠点はクリンプとスペルトリックが多いところだろうか?
スペルのは日本語環境だと難しいと思う。しかしそれらを除いてもとても良い本なのでオススメする。

タマリッツが巻頭で紹介文を書いている。
最初の「現象」でマジシャンと客とのやり取りが記載されて次の「手法と策略」でトリックが解説される。これがとてもわかり易い。翻訳も良い。
40ほどのトリック、P260のかなりのボリュームだけどその中から私が良かったなと思う6作品を紹介する。

目次

FOUR WEDDINGS AND AN IMPOSSIBILITY

客とマジシャンがキングとクイーン4枚ずつとを持って先にマジシャンが1枚置いてその上に客が置くのを4回繰り返す。先にマジシャンがもう1枚置いておいたカードにデックから客が1枚選んで加える。5組を重ねて順番にめくっていくと全てのカードがメイトカード、スーツ(マーク)が同じキングとクイーンが並び、最後のカードもメイトカードである。

有名なワン・ビハインドの原理を使っている。どうしてもエキストラカードを1枚使う必要があるがそれ自体を一致に使ってしまうところが良い。
ただ、パーム(シークレットアディションでもよい)と最後はダブルの扱いと結局エキストラの処理が必要なところはいまいち。
私が演るならもう1枚の一致はやめるかな。パケットの1番下に来ているエキストラをラッピングかパームかでなんとか処理したいところ。
ワンビハインドだけの手順を作っても良いかも。最後はフォースして1枚パス。

評価:良い

THE ACCIDENTAL DETECTIVE

探偵カードを使ったカード当て。カードを配っていくと探偵カードが出てきてその枚数を配ると客の選んだカードが出てくる。

とてもいい演出の作品。ただ当てるだけでなくストーリーになっているのでとてもおもしろい。そして不思議だし。
そして種を見て探偵カードが替え玉であったことを知っておーっとなった。
ロケーションはクリンプを使う。
カードを表向きに見せてタッチしてもらっているが私なら普通に引いてもらってからコントロールするかな。

評価:良い

TELEPATHY X-RAYS AND TELEKINESIS

客がシャフルしたデックを4つのパイルに分けて1つのパケットの一番上のカードを見て覚えてもらってからもとに戻してパケットを重ねてからカットを数回してもらう。
マジシャンはそこからカードの位置を告げそしてデックの一番上に移動させる。

クリンプを使ってのロケーションだけどマジシャンでもなぜかわからないようにうまいことトリックが隠されている。

評価:簡単で軽く演るのにいい。

FINNELLY FOUND

よくシャフルされたデック、パケットの中にカードを入れて何度かカットしてもらってから配っていくとマジシャンがストップと言ってそのカードが客のカード。

Free Cut Principleと言うロケーションを使っている。
マジシャンでもわかんないはずだなと言う錯覚がある。
クリンプを使う。

評価:良い。

A BAD MIND READER AND A GOOD PREMONITION

客がカードを1枚思い浮かべてそれをこっそりと他の2人にも囁いて教える。
1人目の客がテーブルの下でカードの数字と同じ枚数をデックから取る。次の客はスーツ(マーク)の字数に一致する枚数を取る。最後は色に合わせた枚数を取る。全てを戻して混ぜてから見せないでしまう。
この状態でマジシャンは客のカードを当ててしまう。

A~Kオーダーのセット、パームが必要。マジシャンは色、スーツ、スペードの順で当てていくが読心術の実験なので失敗することもある。
パターンは全て当たる、1つ間違えるのが2パターン、2つ間違えるが実は予言されていたというのが1つ。
客が思ったカードを全く手がかり無く当てるのだから1つ間違えるパターンも問題にはならない。
パームはミスディレクションを効かせれるのでそれほど難しくはない。

評価:かなり良い。
インパクトが強いので少し冗長にはなるが前のマジックでオーダーを組んでからやってもいい。

THE FIVE SENSES

3人の客にデックの上からパケットを取り上げて一番下のカードを覚えて混ぜてもらう。残ったパケットは隠す。
一人目はパケットの表を見て当てる。2人目はパケットを手に配ってもらうが一切カードを見ない。3人目はカードを隠して手がかりのない状況で当てる。

ネモニカなどのスタックドデックが必要。
とても不可能性が高い。

評価:とても良い。トリネタで使える。

等量の山の原理


マジックレビュー


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